FAQ42 

 
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Q42.矯正治療で歯を抜いたり、抜かなかったりするのは何か基準があるのですか?
 はい、科学的で合理的な判断が働きます。 基準の考え方には以下のものがあります。
 
@側方頭部X線規格写真分析(歯の出た程度)から考える
  レントゲン検査で、患者さんの横顔からレントゲン写真をとります、これを側方頭部X線規格写真といいます(セファロとよぶ)。 このセファロから上下の前歯の傾斜軸がなす角度を計測します(下記の図を参照してください)。 これをインターインサイザルアングルといいます。
 この角度の大きさが問題になります。 上下顎前歯が前に突出しているケースではこの角度が小さく、100-120度ぐらいを示します。 前に突出した歯を傾斜させ内側に入れてやると、この角度が大きくなってくるのです。 米国南加大学の主任教授スタイナー博士(故人)は、治療ゴールの考え方にこの角度を131度にすべきと提唱しました。 同大学臨床教授のルート博士(故人)は、更に厳しい137度を目標にするように述べています。 いずれも彼らの長年の経験に基づく”経験値”で、この目標値に近づけば前歯の咬合機能と審美性のいずれもが良好になると考えられます。 ここでいう咬合機能というのは、前歯で物を噛み切ったり犬歯を使って糸を切るような顎を左右にスライドさせる機能を指しています。 したがって、このインターインサイザルアングルの小さな人は抜歯して前歯を内側に入れる方向の方が良い、という認識になります。 だから、”前歯が出ていて格好が悪いからへっこめましょう。”と、簡単に考えているわけでは決してありません。 

 左はある患者さんのレントゲン写真から分析を行った図です(この図に関する説明はここから)。 上に書いたインターインサイザルアングルは110度を示しています。 上下顎の歯がともに傾斜して前にとび出ている状態がわかります。
 この症例であれば、”抜歯をして上下顎の前歯を内側に入れてやる。”という方向性になるでしょう。

 こちらは、同じ患者さんの矯正治療が終了したところです。 上下顎前歯の傾斜が減って、内側に入っていることがわかりますか?
 インターインサイザルアングルは131度と大きくなり、理想値になりました。 こんなにピッタリになることは珍しいですが、 
  なお、この他にも分析に必要な数字はたくさんあります。 一般の方にわかり易くするために平易に書きましたが、 単一の数字だけですべてが決定されるわけではないことを付け加えておきます。
A唇の周囲の軟組織の状態から考える
 お口を閉じる場合に口元の筋肉に力を入れて無理やり閉じないといけないことはありませんか? そのときのオトガイにはザラザラとした”梅干”ができていませんか?  
 上または上下の歯が前にとび出ていると唇が閉じにくいため、無理やり閉じるとオトガイ部にオトガイ筋の過緊張が生じ、軟組織が”梅干”状に硬くザラザラになってしまうのです。

 左の図は、上で述べた側方頭部エックス線規格写真(セファロ)の治療前後の比較を行っているところです。  治療前(黒)は上下の前歯が傾斜して前突しているため、上下の唇をとじるとオトガイ筋に過緊張が起こり、オトガイの自然なカーブが失われています。 この症例は抜歯による治療を行いました。 治療後(赤)では前歯の傾斜と前突が改善されたため、上下の唇を無理やり閉じる必要がなくなりオトガイに固有の自然なカーブ現れています。 (このカーブは元々骨に存在する固有のものである。) 
 このように、オトガイ部の軟組織に”梅干”のある人には、抜歯をした方がお口元が格段に改善される場合が多いのですね。 実際の治療例をご覧になりたい方は下記をクリックしてみて下さい。
                上顎前突症   その2  その4  上下顎前突症  その1

さて、”梅干”の件をご理解いただいたでしょうか? この考え方も決して絶対的なものではなく、一つのものの見方です。 私は、色々な観点から抜歯、非抜歯を考えて患者さんに治療を提案しています。

B歯が骨の中心に位置しているかどうか? はぐきの状態から考える
 これは20歳代の患者さんの下顎の全体を撮影したものです。 さて、凸凹は少ないですね、大体ならんでいるように見えますね。ところが、歯の内(裏)側の歯肉(はぐき)ばかりがよく見えています。 一方、歯の外側の歯肉(はぐき)はほとんどみえません。 すなわち、 歯の一本一本が外側(表側)に傾斜して並んでいるためなのです。 ことばを変えれば、歯が骨の中心から外側にはずれて、骨のないぎりぎりにの”がけっぷち”に位置していることを示しています。 そのような悪い条件にある歯は一体どのようなめにあうのでしょうか。
 左の写真を見てください。 同じ人の左下(向かって右)の歯の根元を拡大してみました。
 歯肉(はぐき)が下がっている歯が2本ありますね(真中と右側)。 歯の根元が露出しています。 骨の中心から歯がはずれ、骨のない部分に歯が出てくるとこのように歯肉(歯ぐき)が退縮してしまうのです。 
 右の写真は同じ人の右下(向かって左)の歯の根元です。 はぐきの退縮の程度のひどさがよくわかるでしょう? ここまでくると、知覚過敏といって水や風で歯がしみるように痛んだり、虫歯の原因となる可能性があります。 更に年齢がすすめばひどい歯槽膿漏になって歯が失われてしまうかもしれません。 この方は今の歯並びが確立してからごく短期間(10年にして)で、わずか20歳代でここまで悪くなってしまいました。
 さて、このような症例で、非抜歯(抜歯をしない)で治療すればどうなるでしょうか? わかりますね、少し凸凹があるので歯列は現状より少し拡大した大きなアーチになってしまいます。その結果、歯肉(歯ぐき)の退縮は今以上にひどくなるでしょう。 
 したがって、このケースでは抜歯によって歯列を現状より小さくし、歯が骨の中心近くに位置するような方向の治療が必要です。 だから、何でもかんでも歯を抜かないことが良いというわけではないのです。 このような別の観点から物を見る”診断力”が必要と思います。


いかかでしょうか? 以上のようなことを考慮してすべて総合的に判断して抜歯が決定されます。 その中には当然、あなたの希望も含めて考慮がなされます。 
 抜歯をしたくない方には、できるだけそのご希望をかなえてあげたいと思います。

 

 


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